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2006.12.20 Wednesday

インフルエンザ菌に芽胞?

先日、看護学校の教科書に目を通していて驚いたことを1つ
何気に、インフルエンザ菌の記述を読んでいると、インフルエンザ菌には芽胞があると説明しているではないか!

おお!これは新知見や!
いつからインフルエンザ菌が芽胞を持つことになったんや!?
これは勉強不足
知らんかったなあ
「ヘーッ」20連発やなあ


バイ菌のことなど「これっぽっち」も知らないという人の為に解説しておきます。
芽胞とは、ある種の細菌(バイ菌)だけが形成するもので、ぶっちゃけて言うとカップヌードルみたいなものです??
えー何だって?カップヌードル?
続きは

カップヌードルは封を切らなければ、冷蔵庫に入れなくても長期間保存できます。
しかし、一たん封を切ってお湯で戻してしまうと保存することは出来ません。
細菌は生息している環境が悪くなると死んだり増殖が遅くなったりして、その細菌の存続に関わることになります。
とくに、自然環境に生息している細菌はネコの目のようにくるくると変化する条件の下で生き延びていかなければならないのです。
そのような過酷な条件の下で生息している細菌の一部はカップヌードル的な生き残り戦略を持っています。
つまり、生息条件が厳しくなってくると細菌の内部に芽胞と云う分身を作ります。芽胞はあたかも乾麺のようにカチコチの縮まった構造をしています。
いよいよ、生息条件が最悪の状態、例えば細菌が入っている水が沸騰した場合、細菌本体そのものは死にます。
しかし、内部に形成された芽胞はびくともしません。
やがて、沸騰も収まり増殖に適した温度に下がると、細菌の分身である芽胞から細菌が出来てきて増殖を開始するのです。

人間にも芽胞があると良いですね。(^^)


殺菌や消毒をする際には、この芽胞形成菌は厄介者。
たいていの消毒薬や熱処理も芽胞に対しては無効です。

♪それでも、芽胞をやっつける方法は幾つかあるのでご紹介しましょう。

●まずはガンマ線滅菌法。
滅菌法としては優れているのですが、ガンマ線は放射線の一種で、人間に対しても超危険ですから一般的ではありません。

●次に熱処理。
水の沸騰、すなわち100度では死なないのですが、圧力鍋(2気圧までの上等なヤツ)で20分以上加熱するか、オーブン(160度以上)で1時間以上加熱して下さい。BSE以外の病原体はたとえ芽胞であっても死滅します。

●最後に、化学処理。
家庭にあるものでは、塩素系漂白剤が使えます。家庭用の漂白剤には4-6%の次亜塩素酸ナトリウムというものが含まれていて、これが漂白効果のみならず殺菌効果も持っています。水道水にも僅かに入れられていますが、芽胞を殺す為には少なくとも500倍希釈か、それ以上の濃度で使用します。ただし、このような高濃度では飲料水、料理や食材には使えませんね。しかも、純粋な水ではない殺菌対象物には色んなものが入っていて、それらの中には殺菌成分を弱めてしまうものがあり、相当高濃度にしないと効きません。


何年か前にアメリカで問題になったバイオテロですが、あのときに使われた炭疽菌も芽胞を形成するので、炭疽という病気が流行した農場等の土は長期間炭疽菌で汚染されます。実は炭疽はウシ等の動物の病気なのです。また、芥子レンコン中毒やいずし中毒を起こすボツリヌス菌も芽胞を形成します。一般的な食中毒を起こすウエルシュ菌やセレウス菌も芽胞形成菌です。また、納豆作るときに使う枯草菌(納豆菌)も芽胞形成菌です。

インフルエンザ菌はインフルエンザが大流行した1890年にインフルエンザの患者材料から分離されたことでインフルエンザ菌と命名されました。しかし、その後の研究でインフルエンザの原因はウイルスでインフルエンザ菌ではないと判明しましたが、名前はそのままになっています。インフルエンザの患者から分離されたウイルスもインフルエンザウイルスと命名されました。ややこしい話ですね。
実は、インフルエンザ菌は健康な人の喉や鼻にも生息しているのですが、鼻風邪、副鼻腔炎、中耳炎、肺炎を起こす菌です。乳幼児等では髄膜炎や心内膜炎、中耳炎等を起こすことがあります。乳幼児の細菌性髄膜炎の半分弱がこの菌によるものです。乳幼児の中耳炎の原因菌ベスト3にも入っています(他には肺炎レンサ球菌、モラクセラ・カタラーリス菌)。この菌は乾燥、消毒薬、熱等に超弱い菌で、勿論芽胞も形成しません。


さて、看護学校の教科書に記載されていたインフルエンザ菌のことですが、出版社に問い合わせたところ間違いであることがわかりました。これはかなりひどい間違いです。平成17年度版から間違っていますので、今のところ最低2年間は学生さんが間違って覚えている可能性があります。
念のために教科書の題名と出版社を御知らせいたします。医学書院出版の系統看護学講座専門基礎の「疾病のなりたちと回復の促進[3]微生物学」平成17年度版と18年度版です。国家試験勉強中の学生さんは急いで頭の中の記憶を修正して下さい。

2019.10.17 Thursday

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