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2013.06.05 Wednesday

途上国援助に対する日本の思い込みと思い上がり

第5回アフリカ開発会議(TICAD5)が横浜で開催された.

開発というネーミングは些か前近代的である.

私が若い頃は開発途上国という言い方があった.

これは「(先進国によって)開発される途上にある国々」という(植民地主義的な)意味が込められている.

それで、今は発展途上国、途上国、新興国などと云う言い方をしているようだ.

しかるに未だ「開発会議」である.

先進国がよってたかって「アフリカを開発して食い物にしようという企み」ととられても仕方がない.

会議の中で日本のNGO「ジャパン・プラットフォーム」のシンポジウムがあったらしい.

その中で、「折角作ったトイレは管理できず使われていない、井戸は壊れて放置状態だった」という報告があったらしい.

これはアフリカだけの光景ではなく、東南アジアでも見られる.

実際、私が公衆衛生プロジェクトで一年半程滞在したラオスでも普通に見られた.

ほとんど使われていない状態のトイレや井戸(日本が設置した)に遭遇することは珍しいことではなかった.

日本や欧米側からすれば、薮に入って用をたすことや、小川から水を汲んで使うことは下品で不潔なことであるかもしれない.

しかし、現地の人達は大昔からそのようにしてきた訳で何らおかしなことではない.

従って、立派な手押し式汲み上げポンプは放置され、周りはウシの糞だらけになっている.

トイレも誰も使わず、今まで通りブッシュで用をたしている.

見ていてオモシロいのは人がブッシュに入っていくと、放し飼いにされている犬やブタが必ずついていくことだ.

人が落としたものはこれらの動物が全部綺麗にしてくれる.

トイレットペーパーも使われていない.

用をたした後は竹を薄く削いだヘラで処理するのだ.

ブッシュに入るとヘラが散乱していた.

トイレや井戸が必須であれば、住民の方々は必ず使うだろうし、メンテも自ら行うだろう.

それがされていないと云うことは、必要ないと云うことなのだ.

感染症を生業にしている私としては是非とも使って欲しいところだが、物だけ置いてきてはダメで、彼らが必要と感じるところまでわかってもらうことが先決なのだ.

必要性を感じてから物を設置すれば良いのだ.

最貧国とランク付けされている国々の衛生状況はひどいもので、平均余命は50歳そこそこである.

じゃあ、年寄りは居ないのかというとオジイ、オバアはちゃんと居る.

ある村に訪れて、オバサンに話を聞いてみた.

こんな症状や、あんな症状の子供は居ますか?

子供さんは何人お持ちですか?

6人産んだけど、今は2人さ.

じゃああとの4人は出稼ぎ?

いいや死んだよ.

へーそりゃあ大変でしたね.

普通さ.


こんな会話である.

だいたい五歳になるまでに半分以上の子供は死ぬのが普通なのだ.

少年少女期を過ぎて青年期にはいれば、多くの感染症に罹患して強い免疫を得ているから、其処からはかなり長生きできるのだ.

一生お付き合いのマラリアも大人になるとなかなか死なないが、子供だとイチコロ(熱帯熱マラリア)なのだ.

清潔観念を理解して実行するだけで、おそらく死ぬ子の半分は減らせるという(細菌学の先生談).

出産時にへその緒を切るのに先の竹べらが消毒もしないで使われている.

出産時の破傷風が多い所以.

公衆衛生の概念は「おとう」よりも「おかあ」に植え付けるべき.

子のことを真剣に考えているのは何処の世も母親である.

小学校でわらびんちゃーに教育するのも良い.

子供は純だから直ぐにわかってくれる.

そして、家に帰って「おかあ」に報告.一石二鳥だ.

井戸のある村を訪れたことがある.

日に何度も水浴びするのは良いんだけど、囲いのない井戸の周りでやるもんだから、かぶった水は井戸に逆戻りだ.

子供に説明すれば、直ぐにわかってくれる.

井戸に流れ込まないところで水浴びしている.

そして、同じように大事なことは幼少期を生き延びることができると云うことは人口が増えると云うことでもある.

その人達がちゃんと食べていけるように工夫することも平行してやっていかなくてはならない.

そうしないと経済や物資と人口のバランスが取れなくなり破綻する.


2020.03.31 Tuesday

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