仮設ウイルス学研究室

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2018.08.16 Thursday

ブタのコレラ?

家畜の病名はちょっと変

豚コレラという病気がある一方でアフリカ豚コレラという病気もある

いずれもブタのウイルス性感染症であることには変わりないが全く別の病気

だいたい、ウイルス性なのに細菌性の”コレラ”という病名つけること自体よくないと思う

ウイルス性だけど原因ウイルスが全く違うのである

前者はフラビウイルス科ペスチウイルス属豚コレラウイルスで後者がアスファウイルス科アスフィウイルス属African swine fever (ASF) virusである

フラビウイルスはゲノムがRNAだがアスファウイルスはDNA

どちらもエンベロープという膜に覆われている

ASFVは直径約200nmと大型で直線状二本鎖DNAゲノムが正二十面体構造のヌクレオキャプシドに格納され全体をエンベロープが覆っている

ゲノムサイズは170〜190kbpと大きい(フラビウイルスの十数倍)

ブタ以外にイノシシなどの近縁種に感染するが、アフリカに生息するイボイノシシなどは発症せず持続感染するという報告がある

本ウイルスはダニの体内でも増殖することが知られている

アフリカにおける本病の分布はイボイノシシの分布と一致する

自然環はダニとイボイノシシとの間で形成(節足動物媒介性)されているようだが、患獣との接触や汚染した餌・飼料でも感染(経口・経鼻感染)する

一方、感染ダニから産まれた卵にもウイルスが移行し次世代のダニにも感染が受け継がれる(経卵巣伝搬)ので存続にブタの存在は必須ではない

豚コレラの症状に酷似していることからアフリカ豚コレラと呼ばれるに至る

故に臨床症状だけでは鑑別は困難である

臨床症状は多様で急性型、亜急性型、慢性型が分類されており、不顕性感染もあるようだ

急性型の主な初期症状は食欲不振、発熱、白血球減少、皮膚からの出血やチアノーゼなどで致死率は概ね100%

亜急性型では急性型に比べて軽症であるが致死率は高く大凡一ヶ月以内に死亡する

慢性型では呼吸器症状、死流産、関節炎、皮膚の潰瘍・結節が認められるが致死率は2〜3%と低い

スペインの流行では最初の発生から3〜4年を経て慢性型が占める割合が増加したことからウイルス(病原性)に変異が生じていることが示唆された

現在、本病に対する特効薬はないし有効な予防ワクチンもない

日本で本病の発生を経験したことはないが、一旦侵入すれば家畜産業に甚大な被害を及ぼすことは想像に易い

また、ダニやイノシシにも感染することから自然界で感染環が成立してしまうと根絶が甚だ困難になることが予想される

アフリカの風土病がヨーロッパ・東ヨーロッパに飛び火しロシアにも土着したことはよく知られているところであるが、最近は中国にも侵入し、拡大・定着することが危惧されている

ユーラシア大陸から我が国への本病の輸入を阻止するには徹底した検疫が重要であるとともに

汚染地域からの豚肉製品の持ち込みにも注意を要する

また、航空機や船舶の塵芥等々についても徹底した管理が必要である

参考図書:社団法人 全国家畜畜産物衛生指導協会編 「アフリカ 豚コレラ」


2018.11.13 Tuesday

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