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2005.12.17 Saturday

毎日放送のBSE対策法はおかしくない?

家庭の調理では異常プリオンを失活できない!
 毎日放送の「知っとこ!」という番組(12/17放送分)で、米国産牛肉の安全性に関する解説がありました。解説の中で130度以上の温度で1時間以上加熱すると、異常プリオンの感染性が失われると説明してました。これはあながち間違いではありませんが、説明が不十分です。130度以上というのは、密閉された空間の空気を完全に取り除いた状態で水を沸騰させたときの温度です。このときの圧力は約3気圧あります。我々が、住んでいる地上の気圧は1気圧で、水の沸騰する温度は100度で、どれだけ加熱しても100度以上にはなりません。

オーブンで調理しても異常プリオンはやっつけられない
 番組の解説が犯した完全なミスは”ハンバーグをオーブンで130度以上に加熱して異常プリオンの感染性を失わせる”というくだりです。オーブンの内部は一気圧ですからハンバーグに水分がある限り、内部が100度以上になることはありません。水分が完全に蒸発すれば温度は上昇し、脂肪分の沸騰点まで上げることは可能でしょう、脂肪分が完全に蒸発すると更に温度は上昇し、蛋白質の分解(焦げるということ)が起こるでしょう。しかし、それはもうハンバーグとは呼べません。

加熱滅菌法の実際
 代表的な加熱滅菌法には火炎滅菌、乾熱滅菌、湿熱滅菌(高圧蒸気滅菌)があります。火炎滅菌とは燃やしてしまうことで、誰でも理解できると思います。乾熱滅菌とは160-200度で2時間前後加熱する方法で、圧力は関係ありません。高圧蒸気滅菌は前述したように、空気の無い空間で水を沸騰させ、高圧・高温で滅菌する方法です。通常、高圧蒸気滅菌法は2気圧、121度、20-30分間で行います。乾熱滅菌法に比べて低い温度で短時間に行えまる効率的な加熱滅菌法です。この条件で全ての細菌やウイルスなどの微生物が滅菌できますが、異常プリオンは熱に対して強い抵抗性を示します。高圧蒸気滅菌では圧力を3気圧まで上げて、130度以上、1時間以上の処理が必要です。このような圧力で加熱できる家庭用圧力釜はありませんから、家庭の調理では異常プリオンの感染性を失わせることは無理なのです。ちなみに、異常プリオンは蛋白質の一種でありますが、構造的に極めて安定なので、熱、紫外線、放射線、化学物質などの環境因子に対して抵抗性があるのです。したがって、あらゆる滅菌消毒法に強い抵抗性を示します。

以上のことから、毎日放送は完全に嘘つきとはいえないが、生命に関することで一部間違った対策法を紹介した。このような大事なことは専門家の監修を受けるべきです。

 まさに「知っとこ!」ならぬ「知ったかぶり!」といえるのではないでしょうか?ただちに訂正すべきだと思います!

2020.04.24 Friday

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